Feature

食品事業インドの市場に
高品質なイーストを

BACKGROUND

経済発展に伴い、拡大するパン市場と需給ギャップ

世界第7位の面積と世界第2位の人口を抱えるインド。この巨大なマーケットでは今、経済成長に伴って核家族化や女性の社会進出といった変化が起きています。
食においても、手間のかかるチャパティやナンに代わってパンやサンドイッチの需要が拡大しており、イーストの供給が追いつかないという状況が生まれています。

インドにおけるパンの市場規模推移
インドにおけるパンの市場規模推移

10億ルピー=約16億円(2019年2月末現在)

現地のニーズを踏まえた、
高品質な生イーストを安定供給

現在、ガンジス川の汚染を受けてインド政府は全州域において環境・排水規制を厳格化しています。現地のイーストメーカーは規制強化に対応できず、パンの需要拡大に応じた増産体制を確保できないため、需給ギャップが生じています。
一方、インドのパン市場は今後も伸び続ける見込みであることから、当社はインドビジネスでのイースト事業展開を決定。大量の水を製造に使用するイースト工場において、インド政府が求める排水規制強化に対して一段と高いレベルで対応するため、工場敷地外に排水しないゼロ排水システム(ZLD:Zero Liquid Discharge)を導入した新工場を建設中です(2020年完工予定)。
また、インドは国土が広く流通構造が多層であることからイーストを納品するまでの期間が長く、品質が安定しにくいという問題があります。しかし、当社には、3万を超えるイーストの菌株と、ニーズに合った菌株を製品化する育種技術があります。また、イースト製造の培養ノウハウや、ローコスト化を可能とする生産技術においても豊富な経験と実績を蓄積しています。これらのノウハウを活かして、インド市場においても高品質な生イーストの提供に取り組んでいきます。

新たな市場で獲得した情報やノウハウを社内、グループ内に還元

今回の新工場建設においては、バイオ事業が先行してインドに進出していたことも大きなメリットでした。外国法人が土地を取得できないインドにおいて、当社ではバイオ事業の現地法人と連携して工場用地を円滑に確保することができました。また、バイオ事業を通じてインドという国や市場、人を理解できたことで、現地の生きた情報の獲得や有力なパートナーとの連携が可能になったという効果もあります。
新工場稼働後は、イーストはもちろん製パン改良剤を含むベーカリー向け商材の販売も展開していく予定です。将来的には、インドをベーカリー・菓子向け原料事業の海外拠点として、周辺国を視野に入れた事業展開を目指します。さらには、その中で獲得した情報やノウハウを、社内はもちろんグループ内に還元することで、グループの総合力の発揮に貢献していきます。

MESSAGE

グローバルなイーストメーカーを目指して

OY インド Pvt. Ltd. ダイレクター 社長 吉田 巌
OY インド Pvt. Ltd. ダイレクター 社長 吉田 巌

日本経済は今でこそ堅調ですが、中長期的に見れば閉塞感は否めません。今回のインド市場への参入を機に有望なマーケットを見極めながら新たな可能性を追求し、世界一のスペシャリティなイーストメーカーとなるべくグローバルに事業を展開していきたい。そして、ブルーオーシャン市場における高収益企業としてグループ全体の活力につなげていきたいと考えています。