ベーキングパウダーとは
ふっくら形良く膨らんだパン・お菓子は、見た目にも食欲をそそります。特に「ふんわり」「さっくり」などの食感は、製品価値を高める重要なファクターです。この「膨らませる」方法としては、①空気(ホイッピング・クリーミング)②酵母(イーストによる発酵過程で糖を分解し炭酸ガスを発生)③水蒸気(生地の温度上昇による膨脹)④ベーキングパウダー(重曹による炭酸ガスの発生)の4つがあります。お菓子においては、この④ベーキングパウダーの作用を取り入れて計算された炭酸ガスを放出することで、外観や食感の安定した製品をつくることができます。
ベーキングパウダーの生い立ち
イーストによる発酵パンづくりの利用は紀元前からエジプトで行われ、数千年の歴史があるのに対し、重曹によるお菓子づくりは19世紀初頭からと言われています。
重曹、化学名でいうと炭酸水素ナトリウムは、水と熱が加わると炭酸ガスを発生して製品に膨らみをもたらします。この際に分解された炭酸ナトリウムが強いアルカリ性を示すため、製品の変色や味覚への悪影響がありました。しかしあるとき、たまたまレモン果汁を使用したところ変色とアルカリ臭を抑制できることがわかり、酸性物質を併用することで品質の良い製品ができるようになりました。そして1850年代にアメリカで酸性物質を配剤したベーキングパウダーが市販されました。現在は和・洋菓子をはじめ、ドーナツ・中華饅頭・天ぷらの衣など幅広い用途にベーキングパウダーが使用されています。
ベーキングパウダーって何だろう?
ベーキングパウダーは、パンや菓子製品などを多孔質にするとともに、食感を向上させる食品添加物およびその製剤です。重曹(炭酸水素ナトリウム)や炭酸水素アンモニウムなど1種の素材、または、2種類以上の素材によって炭酸ガス、もしくはアンモニアガスの力で生地を膨脹させるため、「膨脹剤」「膨張剤」「ふくらし粉」とも呼ばれています。
一般的に、ベーキングパウダーは炭酸ガスの発生源である重曹と、ガス発生を促進・調整する酸性剤および保存性を向上させる分散剤とを混合したものです。
ベーキングパウダーの特徴(製品への効果)
1.ガス発生
ベーキングパウダーの反応で発生する炭酸ガスは、製品にボリューム感をプラスします。例えば、マフィンケーキや蒸しパンなどはベーキングパウダーの発生する炭酸ガスで膨らみます。
一方、スポンジケーキやパウンドケーキは卵や油脂の気泡力を利用して、ホイッピングやクリーミングの作用による気泡が熱膨脹することで製品が膨らみます。しかしこの方法では、気泡のでき具合が膨らみ方に影響するため、作業者によっても日によっても製品が安定しません。そこに、安定したガス発生が得られるベーキングパウダーを添加することで、製品の仕上がりを安定させることができます。さらに、ベーキングパウダーにはボリュームアップだけではなく、焼き縮みを防止する効果もあります。
また、イーストドーナツも同様で、ベーキングパウダーによってイーストの膨らみをカバーし、ボリュームを安定させ、揚げ縮みを抑制する効果があります。さらには、食べたときの吸油感を抑える効果もあります。
2.ガス発生のパターン(遅速)
ベーキングパウダーのガス発生の最適な遅速は、製品の種類や配合によって異なります。例えば、スポンジケーキやロールケーキのように均一に膨らませたい場合と、マフィンやパウンドケーキのようにトップを出したい場合とでは最適な遅速が変わってきます。
このガス発生の遅速は、酸性剤ごとの反応性の強弱によって異なり、3つのガス発生パターンに分類できます。
- 速効性ベーキングパウダー:低い温度で反応性が高いもの(低温でガス発生が強いもの)
- 持続性ベーキングパウダー:速効性と遅効性の間(低温から高温にかけてなだらかに反応するもの)
- 遅効性ベーキングパウダー:低い温度で反応性が低いもの(低温でガス発生が弱く、高温にかけて強くガスが発生するもの)
一般的に、速効性はロールケーキのような焼成時間が短いものや蒸し物に、持続性はスポンジケーキなどフラットに仕上げたいものに、遅効性はマフィンやパウンドケーキのように中央部の膨らみを強くしたいものに、それぞれ適しているといわれています。
製品紹介
オリエンタル酵母のベーキングパウダーのラインアップ
オリエンタル酵母工業は、さまざまなメニューに使える幅広いタイプのベーキングパウダーをラインアップしています。ガス発生量・ガス発生の遅速・製品のpHなどの異なるベーキングパウダーで、お客さまの製品品質向上と安定した製品づくりをサポートします。
荷姿2kg(スタンディングパウチ)×6の賞味期限が、2020年3月製造分より、180日から365日に延長!!
※当社品は業務用(一部を除く)です。当社では一般のお客さま向けへの小売りをしておりませんので、ご容赦願います。
マイスターオール
スポンジケーキ、マフィンケーキ、イーストドーナツなど、幅広い製品に
・スポンジケーキからイーストドーナツまであらゆる製品に使用できる汎用性の高いベーキングパウダーです。
・ガス発生量を多くしたベーキングパウダーで、よりボリュームを求めたい製品に効果的です。
ガス発生の遅速:やや遅効性/製品pH:中性
マイスターベイク
焼き菓子や和菓子のボリュームUP!
・フィナンシェやスコーンなどの焼き菓子やどら焼きなどの和菓子に適したベーキングパウダーです。
・ガス発生量を多くしたベーキングパウダーで、よりボリュームを求めたい製品に効果的です。
ガス発生の遅速:やや遅効性/製品pH:中性
FS
チョコレート生地を鮮やかに
・スポンジケーキ、パウンドケーキ、焼き菓子用のベーキングパウダーです。
・穏やかなガス発生により、均一な内相に仕上げます。
・製品(特にココアやチョコ生地)の焼き色を鮮やかにし、ソフトな触感に仕上がります。
ガス発生の遅速:持続性/製品pH:アルカリ性
ふんわり卵【2kg×6】
卵製品用ベーキングパウダー
・オムライス、卵焼きなどの卵料理に使用するとふくらみが良く、多孔質でふんわりとした食感に仕上がります。
・さらに色鮮やかになり、味への影響もないため、繊細な味わいの卵料理に最適です。
ベーキングパウダーの取り扱いと保存方法
- 用途に応じて適切な製品を適量ご使用ください。
- 正確に計量してご使用ください。
- 水に溶かさず小麦粉に混ぜてご使用ください。
- 製品は、涼しく直射日光の当たらない場所、特に湿気や温度変化の少ない所で保管してください。
- 使用期限は180日または365日ですが、開封後は早めにご使用ください。
- 製品を使用した食品への食品添加物表示事項は「膨張剤」、「膨脹剤」、「ベーキングパウダー」または「ふくらし粉」です。
次のような場合は、ベーキングパウダーの性能が落ちている可能性が高いので、新しいベーキングパウダーの使用をおすすめします。
- ベーキングパウダーが固まっている
- 乾いたサラサラ感がない
- 粒子が粗くなっている
- 炭酸ガスの発生が弱い
【ご注意ください】
焼ミョウバン・焼アンモニウムミョウバンの規格基準についてご存知でしょうか?
ベーキングパウダーに使用されている焼ミョウバン(正式名:硫酸アルミニウムカリウム)・焼アンモニウムミョウバン(正式名:硫酸アルミニウムアンモニウム)について、厚生労働省による規格基準※が2018年秋に改定されました。
※焼ミョウバン・焼アンモニウムミョウバンの使用量が、アルミニウムとして、菓子、生菓子又はパンにあっては、その1kgにつき、0.1g以下でなければならない。(2018年11月30日付 平成30年厚生労働省告示第407号から)
焼ミョウバン・焼アンモニウムミョウバンの配剤量やベーキングパウダーの添加量にもよりますが、焼ミョウバン・焼アンモニウムミョウバンが含まれているベーキングパウダーを菓子、生菓子またはパンに使用すると基準値を超えるリスクがあるのでご注意ください。オリエンタル酵母では、本ウェブページに記載したほかにも、ベーキングパウダー製品を幅広く取り揃えています。お気軽にお問い合わせください。